11270. 論文の読み方2

宮坂先生があげておられた論文の読み方。

宮坂 昌之

7月1日 12:21  · 「変異株の出現により新型コロナワクチンが効かなくなるのでは」というような怖い話が大好きな人がいます。一方、私はかねてから、免疫学的に考えると、「ウイルス表面には自分が異物であることを示すいくつもの目印があるので、変異が起きて少々目印の数が減っても、ワクチンはそれなりの効果を示すはずである。したがって、大きな心配は無用」と説明しています。
 今回、このことを強く支持する論文がScience Translational Medicine誌の6月30日号に掲載されました。アメリカ・シアトルの研究グループからの報告です。
 それによると、ファイザーワクチン接種を受けた人では、スパイク蛋白質上のRBD (receptor binding domain)とよばれるアミノ酸200残基ぐらいからなる領域に非常に強く結合する抗体が豊富にできていました(その多くはウイルス感染を阻害するいわゆる中和抗体です)。そして、これらの抗体の結合部位を調べると、ワクチン接種で得られる抗体は自然感染で得られる抗体よりもRBD上の多様な部位に非常に広範に結合していることがわかりました。
 つまり、ウイルスの一部であるスパイク蛋白質上のRBDという領域には、実際にいくつもの目印があって、ワクチン接種を受けると、これらの多くの目印に結合できる多様な抗体が豊富に出来ているのです。つまりこれは、「変異によって少々目印の数が減ってもワクチン接種をすれば、スパイク蛋白質に十分に結合できる抗体が出来るようになる」ということを意味しています。
 一方、自然感染でできる抗体は、これらの目印のうち限られたものにしか結合しないので、変異によって目印の数が減ると抗体の結合性が下がる、すなわち中和能力が下がる、ということになります。
 このように、ワクチンは、ウイルス上の多数の目印に結合する強力な抗体をたくさん作らせることができ、ワクチン接種で得られる抗体は自然感染でできる抗体よりもはるかにウイルスをやっつける能力が高いのです。実際、最近の論文データはこれを裏付けるもので、ファイザーワクチンはアルファ変異株(イギリス株)、デルタ変異株(インド株)の両方に対してそれなりの効果を示し、感染抑制にも重症抑制にも有効に働いています。
 世の中には「このウイルスは大したことがないので、自然感染に任せていれば集団免疫がそのうち出来る。ワクチンは不要」などという人がいますが、まったくの間違いです。自然感染で出来る免疫はそれほど強くなく、ワクチン接種によってできる免疫に比べてずっと劣ります。一方、このウイルスは感染したら大損ですよ。

(以上引用)

https://stm.sciencemag.org/content/13/600/eabi9915

論文はこちらから引けます。

Science Translational Medicine  30 Jun 2021:
Vol. 13, Issue 600, eabi9915
DOI: 10.1126/scitranslmed.abi9915

FIg.5のCを見ると、E484K, G446V, K417Nの3つの変異を持ったウイルスに対して、ワクチン2回接種後3ヶ月(90日)の人の血清は、変異によって3分の1から10分の1に効果は薄れている。3倍から30倍薄れてしまう自然に感染した人convalescentよりはワクチン接種した人の方がマシだけど、個体差がある故に、私が緑色で囲った範囲の人たちはワクチン接種も自然感染も実は差がないとも読める。

そして、注目すべきは、この3つの変異のウイルスってのは巷にあるデルタ型やラムダ型そのものではないこと。

このデータは250ugというモデルナの市販バージョン100ugよりも多い量を打った人から得た血清を利用してること。

一方、宮坂先生が触れているインド型やラムダ型にも効きますぜ!ってデータは、この論文で使われたような接種3ヶ月後の血清を使ってるわけじゃないこと。

私がこの3ヶ月、言い続けて来たことを改めて、まとめて書いておく。

mRNAワクチン打てば自然感染は一定期間は防ぐことが出来るし、大抵は自然感染よりも良い抗体が作られる。(この論文でも示してあったこと。)

しかし抗体は時間経過とともに必ず、落ちていく。その落ち方には個人差がある。(この論文の弱点は、自然感染の人たちの方が年齢が上で、ワクチン群の方が年齢が若いというバイアスがある)

There are several limitations to our study. The vaccinated individuals in our study were relatively young (18 to 55 years) and healthy, whereas the convalescent individuals were older (23 to 76 years; median, 56) with a range of comorbidities (13). In addition, we did not examine effects of mutations or deletions to the N-terminal domain of the spike protein, which can also affect neutralization by vaccine sera (7).

『今回の研究にはいくつかの限界があります。今回の研究では、ワクチン接種者は比較的若く(18~55歳)、健康であったのに対し、回復者は高齢で(23~76歳、中央値56歳)、さまざまな合併症を抱えていました(13)。さらに、ワクチン血清による中和に影響を及ぼす可能性のあるスパイクタンパクのN末端ドメインの変異や欠失の影響については検討していません(7)。』

N末端ドメインとは、荒瀬抗体(感染増強抗体)の結合する部位であり、インド型が激しく変異している場所でもある。しかし実在する新規の変異株については、論文は触れられてないことも多い(研究が現実世界のスピードに追いつけ無い)。

これはイギリス株(アルファさん)を対象としてて、デルタさんのことは見えてない時期のデータです。

この先の人間の予測を超えた変異が生まれる可能性もある。

だから、抗体が一定の閾値以下に落ちた時、変異株を一定量以上吸い込んだ時、ADEが生じない保証はない。(少なくとも不活化ワクチンの国では、既に、それが感染者数死者数の統計として見えつつある。)

mRNAワクチンで作られる強力な予防効果を変異株が凌駕した時、抗体がなまじ既に作られていることで感染しやすくなる発症しやすくなるリスクはリスクとして、きちんと知らせるべきで、それを防ぐためにも感染予防の行動はワクチンを接種しても緩めるべきではない。そこまで丁寧に説明をすべきである。

感染免疫を知らぬTakaさんは峰さんの言葉を一方的に信じてADEの心配は無いなどと言うな。です。

11261. 論文の読み方

あなた本当に専門家ですか?

ウイルス学でも免疫学でも無い、あなたのご専門は救急医療では?

なぜワクチンとなると専門家の自信が湧いてくるのですか? 

峰先生のご専門はヘルペスウイルスでは? コロナウイルスの論文、ありますか?