10254. カズオ・イシグロが語る

感情優先社会の危うさを、私は「無敵の御素人様」と表現する。

感情を優先しすぎてしまった

――とはいえ、事実や真実を見極めるのが非常な困難な世界になっています。ある人から見た事実が別の人からは違う場合もあります。線を引くことに難しさを感じませんか。

何が事実や真実で、何がそうでないか、ボーダーラインがあるかどうかはわかりません。ただ私自身は近年、科学の世界で行われているやり方が非常にすばらしいと感じるようになりました。もちろん科学の世界が完璧なわけではありませんが、基本的には何かをめぐって論争が起きた時に、最終的にデータやエビデンスによって事実が判明し、間違っていた側もそれを認めて「では、次の議論へ移ろう」となるようです。科学の世界では、人々はそうやって議論し、意見を持ったり、意見を諦めたりしています。

しかし、科学以外の世界では何か異常が起きている。これは私たちのような感情を通してコミュニケーションをする創造的な仕事をする人間にも責任の一端があるかもしれませんが、私たちは「大事なのは事実や真実ではなく、何を感じるかだ」という考えを浸透させすぎたようです。

(以上、https://toyokeizai.net/articles/-/414929?page=3 より引用)

科学の社会が必死になって作り上げたフラットな議論の場を、ぶち壊してくれる無敵の人。

兵站を度外視して、「命がかかってるんだから」を錦の御旗に、無駄使いを強いてくる物理帝国主義者。

モノも人も足らない現場の負担は増える一方だ。ゲノム配列の解析のお金はどこから捻出できるのか?

今回は医療が重荷を背負ったわけだけど、他の現場も順繰りに、この「お気持ち優先派」のクレームを受けて辛さを共有できるようになるだろう。しかし「お気持ち優先派」は、お仕事をしてない属性の人だから自分たちがターゲットになって、省みることはないのだ。