氏家先生は「悪魔の提唱」をご存知だと感じる。
(不遜な言い方に聞こえるかもしれないが、一般論としてのDevil’s Advocateのことだ)
先回りして「悪魔から意地悪な質問」を投げさせ、それに答える形で、全体をきっちりと見せるようになっている。
どっかのワクチン氏のように、一方的にヒャッハ〜ドヤ〜俺(ワクチンと同化して)スゲ〜と浮かれてはいない。
極めて冷静で「冷徹」にメッセージを伝えている。
―― ワクチンを接種することでどの程度新型コロナの感染を抑えることができるのか。
氏家 ワクチンの有効性にもよるが、予防接種を受けた人の発症がある程度、減少するだけでも、発症した人が周囲の人に感染を広げる機会を予防することにも繋がり、社会全体で流行を抑える効果は大きい。ワクチンをより効率的に活用するためにも、感染のリスクが高い人、重症化しやすい人から優先的に接種を行う戦略と実際の接種の迅速性とのバランスが重要となる。
―― ワクチンの接種が広がれば、新型コロナが流行する前の生活に戻れる可能性もあるのか?
氏家 ワクチンが、症状のない状態の感染をどの程度抑えるのか、ワクチンによる予防効果がどのくらい続くかなどはまだ分かっておらず、残念ながらそれはわからない。ただ、この冬のインフルエンザの患者数が例年と比べてかなり少ないのは、われわれが普段以上に心がけている基本的な感染予防策(手を洗う、症状があればマスクをする、人との間で距離を取る、換気の悪い空間では換気をするなど)がウイルスを〝困らせている〟何よりもの証拠だ。ワクチンだけに頼るのではなく、基本的な感染予防策を今後も続けていくことが大切だ。
―― ワクチンを接種する前に感染者数を減らしておくことは必要か?
氏家 非常にたくさんの人が予防接種を受けることになるので、多くの人が接種場所に集まれる、接種を行う医療従事者が十分に確保できるなど、予防接種を実施しやすい環境を整えることは重要だ。また、コロナウイルスは変異を繰り返す性質を持つが、将来、この遺伝子の変異がワクチンの有効性に影響を及ぼすことも懸念されている。そうした変異は感染を繰り返すことで生じるため、感染者を減らしておくことは、ウイルス変異のリスクを下げることにも繋がる。今後も社会全体で、さまざまな感染対策を併用しながら、新型コロナの流行を克服していくことが大切だ。
BuzzFeedとWedge、違う媒体に出て、同じことを語っている。幅広い層へ訴える覚悟を感じる。
テレビは切り取りの危険があるので、ロングインタビューの雑誌にしか出ないというスタンスの先生もおられる。どの媒体を選ぶかは、「先生」の方に選択権があるのだから、「そこまで言って委員会」に出る暇はあってもBuzzFeedの取材は拒否するのも、先生のスタンスを表している。
もはや、あのヌーボーとした忽那先生にすら、見放されてもしかたなかろう。