9381. また藁人形論法で叩く人が出る前に

きっちりと西浦先生の言葉を伝えようとするのがBuzzFeedってのもネット時代だなぁと思う。

今、ここまで感染者が増えた段階では、クラスター対策が満遍なくできるレベルに戻すのはかなり難しい。相当の日数が必要です。

これから分科会の先生方が提言すると思われる、1日当たりの感染者数の目標は、ステージ2相当だと議論しています。東京なら1日あたり2桁の感染者数です。それを達成して、医療の負荷を減らすのが目的になると思います。

4月に「8割おじさん」として接触8割減を言わなければならなかったのは、早く勝負を決めるには、だらだら緩い対策をやっていたのでは長くかかることを誰も理解していなかったからです。

「6〜7割減」とされた場合を想像して下さい。失敗に対する非難や過度な延長に伴う疲弊などのインパクトを考えるとぞっとします。

6割減だったら横ばいです。7割減なら2ヶ月かかります。ある程度の反発があっても、8割減らしたほうがいいと言い続けたのは、わかっているのは専門性のある自分たちだけだったからです。

この過去の経験を踏まえた上で、今回の緊急事態宣言もどうあるべきなのか考えてほしいと思います。

1度目の宣言と異なる2つの変化

ーー 実効再生産数を0.65倍に減らすには、今回も接触8割減ぐらいを目指さなければいけないのですか?

それを専門家内でどういう風に話しているかと言えば、「どれだけやれるかはやってみないとわかりません」ということです。

第1波と明確に違う、2つの変化があります。

  1. 感染リスクの高い場面、低い場面がわかってきたこと
  2. 流行の長期化で感染対策に協力が得られにくくなっていること

です。

第1波の時はこの感染症の特徴もわかっていない段階でしたから、感染リスクが高い場所に焦点を絞った対策もありましたが、可及的速やかに感染者を減らすには、社会全体、全領域を対象に接触8割減をやることになりました。

今はリスクの低い対象もかなりわかってきています。例えば屋外での接触や子どもは感染拡大が持続しないことが明らかです。

ですから社会全体に一律に網をかける対策ではなくなってきています。社会全体で何割減というのは、この感染症の特徴がわかってきた今の段階では、倫理的にも支持されにくい。

もう一つは、流行対策は皆さんの協力が必須ですが、コンプライアンスがどこまで期待できるか、つまり、どこまで要請に従ってくれるかに不安が出てきていることです。

ーー流行が長引いているので感染対策に飽きやうんざり感が出てきていますね。

そうです。Twitterなどの社会学的な分析をしている先生がいるのですが、今、社会の中で若年層の人たちと、中年層以上は考え方が違ってきているようです。

特に感染しやすい・させやすいハイリスク層の人は、単に緊急事態宣言が出たからとか、単にリスクが高いからという伝達だけでは、どこまで聞いてもらえるかわからなくなっています。

少なくとも第1波のように多くの人が協力してくれることは難しそうです。

本当にやってみないとわからないのです。それでも、どこを目指して、どんな対策をするのかは、みんなで考えていかなければなりません。

具体策の効果については日本でも少しデータは得られているのですが、確証できるデータはないです。例えば、電車を午後9時終電にしたとして、どれぐらい効果があるかはわからない。

赤、青、黄の効果について幅を持たせているのも、計算で予測できないところが多いからです。こういうのを不確実性といいます。

罰則と給付をセットにした特措法改正は?

ーー飲食店の営業時間短縮を実効性のあるものにするために、給付と罰則をセットにした措置ができるよう、特別措置法を改正する方針が菅首相によって示されました。第1波と違う二つの要素を考えると、そういうものも必要ですか?

最初の緊急事態宣言の時に「失敗してはならない」と強く思っていたことにその話は関連します。

緊急事態宣言が色々な対策の「プランB(次の一手)」として用意されていて、その時も、罰則は超法規的に検討されていたのです。しかし、超法規的な措置はやはり取れないので、緊急事態宣言を打てばその後打てる対策はなくなる、というのが第1波の状況だったのです。

今、あの頃と同じ対策で進もうとしていることに危機感を抱いているのですが、今回、生ぬるい対策で実効再生産数を減らそうとしているのは、後ろに「プランB」があると考えているからではないかと思います。

ーー先生はシミュレーションの中で、2月1日以降に対策を強化する想定を盛り込んでいます。この強化は、特措法の改正を指しているのですか?

その通りです。国会審議が1月下旬にスタートして、最速に特措法の改正ができるとしたらこのタイミングです。緊急事態宣言を発令した2週間後ぐらいに、効果を評価して、それが不十分であれば、強化するプランがあり得ると思っています。

特措法の改正で強制力を持った対策が2月1日から打てるようになれば、3月中下旬には100人未満を達成することが可能になるという想定です。

必ず懐に次の一手を残しておくことは大事だと思っています。

ーー特措法の改正としては、菅首相は飲食店の営業時間短縮の実効性を上げるために、事業者に減収分を埋める給付と、時短営業を守らない場合の罰則をセットで課すことを検討すると示しています。それで先生が想定している2月1日以降の対策の「加速」になりますか?

いえ。わかりません。要請ベースでの協力依頼がこの街では効果がないと判断した時の追加策を考えていることの言及であって、上記の加速かどうかはやってみないとわからないのではないでしょうか。

ーーどういう強制力を考えているのですか?刑事罰なのか、罰金レベルなのか。それによって反発されるかどうか決まりそうです。

法学者の先生たちも加えて、頭をひねって下さっているようです。事業者側の罰で政府は考えているようです。

ーーヨーロッパのように外出禁止令などに対する個人への罰則は必要ないと考えておられる?

いえ。例えば、東京都などでやっている条例ベースの路上喫煙は個人への罰則ですが、機能しています。路上喫煙はほとんどなくなりましたね。そういう実効性が、それぞれの罰則でどれぐらいあるのかは担当者の中でしっかりと議論してもらいたいです。

信じたい 日本人の良識

僕は、こうした罰則は今すぐに必要だとは思っていません。

ただイギリスの状況などを見ていると、変異株の影響もあって、流行曲線が身震いするような状況です。新規感染者数が縦に上がっていくような状況です。クリスマスの影響とは言われていますが、ロックダウン下でも接触があって、今、さらに強固な外出禁止令が出ようとしています。

そういうことに日本もなった場合のオプションは考えておかないといけません。でも、そこまで強制力を働かせなくても、接触を下げるのだという社会の機運は作れる国民性ではないかと思います。

国民性に頼ることは本当はあまり良くないですが、その効果が大きいなということは相当感じています。

感染防止を軽視する人との間で分断が起こるかどうかはわかりませんが、そこまでみなさんこの流行を軽視していないのではないかなと思っています。

為政者からも、国民に「ここまでは国民の努力が必要なので、どうしても協力してほしい」と腹の底から語りかけることができるといいなと思います。

国民に一定の信頼を置いた上で、オプションも用意しておくのが理想なのではないでしょうか。

とうとう真打が登場ですね。