9279. データの読み方がもりよ先生は浅い

ダイヤモンドオンラインにしては良い記事でした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c1e06b6b6383c4479ee4620417aad5f30df106f4?page=3

● OECD加盟国平均よりも多い 日本の病床数が物語ること

 

 ただ、残念ながらこれも客観的なデータが物語っている。同じく『医療崩壊の真実』の中に掲載されているが、日本の人口1000人あたりの病床数は13.1。OECD加盟国平均は4.7なので、それと比べて桁違いにベッドの数が多いのだ。それはつまり、病院の数もかなり多いということである。

 もちろん、これは国民皆保険という日本独自の制度ゆえの多さだ。どこでも誰でも気軽に医療にアクセスできるようにする保険制度なのだから、いたるところに病院がなくては意味がない。そのような意味では、日本にこれほど病院が多いことは決して悪いことではなく、むしろ素晴らしいことだ。

 乳幼児や子どももすぐに医療にかかることができるし、お年寄りや体の弱い人もアクセスしやすい。どこかの国のように、隣町の病院へ行く途中に亡くなってしまうといった悲劇も少ない。病院が圧倒的に多いことが日本人の健康や命を守ってきという事実からも、筆者は「病院が多い」ことを批難するようなつもりはまったくない。

 ただ、我々患者がその素晴らしい医療の恩恵を受けることができているのは、「医療従事者の重い負担」という犠牲の上に成り立っているという現実がある、という現実を指摘したいだけだ。

 人口1000人あたりの医師数は、OECD平均が3.5人のところ、日本は2.4人しかないのである。看護師も先進国の中では、多くもなく少なくもなくという感じだ。

 医療従事者の人口あたりの数は、諸外国と比べてそれほど変わりがないか、むしろ平均以下のこの国において、病院が諸外国と比べてこれほど多かったら、どんな悲劇が起きるかは明らかだろう。

 まず、医療現場ではブラック労働が常態化する。圧倒的に多い病院に、ただでさえ少ない医療従事者が振り分けられるので、1人あたりの負担が重くなることは容易に想像できよう。その中でも、諸外国と比べて仕事量が増えるのが看護師だ。

 「第9回医師の働き方改革に関する検討会」(2018年9月3日)で配布された「諸外国の状況について」という資料の中に、諸外国の医療体制を比較した一覧がある。その「病床百床あたり臨床看護職員数」を見ると、アメリカは394.5、イギリスが302.7、ドイツが164.1、フランスが161.8であるのに対して、日本はどうかというと、83と断トツに少ない。

 これだけ負担が重いと、当然心身を壊す。日本医療労働連合会の「看護職員の労働実態調査」(2017年調査)では、「慢性疲労」を訴える看護師は7割を超え、「仕事を辞めたいと思う」が74.9%にも達していた。その理由は「人手不足で仕事がきつい」が47.7%と最も多く、その次が36.6%で「賃金が安い」だった。

● 医療現場はコロナ禍前から 「崩壊」の危機に瀕していた

 マスコミは「コロナ感染拡大によって医療現場がひっ迫しています!」「看護師の心身が限界です!」と大騒ぎをしているが、コロナのはるか昔から、医療現場はとっくに「崩壊の危機」にさらされていたというわけだ。

 それが崩壊せずにどうにか持ちこたえていたのは、現場の医療従事者たちの「頑張り」以外の何物でもない。それが今回のコロナ危機で、いよいよ限界を迎えているのだ。

 日本の医療崩壊危機は、医療従事者数に対して圧倒的に病院数が多いという「歪んだ構造」によるところが大きい。この根本的な問題を解決しないことには、「指定感染症2類相当措置の見直し」などで現場の負担を軽減しても焼け石に水だ。

インフル相当にすれば当然、市中感染が広がるので、地域の急性期病院に重症患者が集中する。そうれなれば結局、医療のひっ迫は繰り返されるだろう。