8632. ADAMTS13

原因か、結果か。

ADAMTS13(A Disintegrin-like and Metalloproteinase with Thrombospondin type 1 motifs 13)

ADAMTS13は、止血因子であるvon Willebrand因子(VWF)を特異的に切断する酵素である。ADAMTS13の基質であるVWFは血漿糖蛋白であり、血管壁の損傷によって露出したコラーゲンや、血小板表面の受容体蛋白質に結合することによって、血小板を凝集させる働きを持つ。通常、ADAMTS13により、VWFが部分的に切断されることによって正常な止血機能が維持されている。何らかの原因でADAMTS13活性が低下すると、血液中に過剰のVWFが蓄積して血小板凝集による血栓を起こしやすくなり、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を発症するとされている。TTPは特に第9染色体上にあるADAMTS13遺伝子の異常によって活性が低くなる先天性疾患をUpshaw-Schulman症候群と呼び、後天的に自己免疫等で発症するTTPと区別される。

D-dimerは結果。

COVID-19の予後が悪い人は、高齢者、基礎疾患がある人といわれてはいるが、若い人でも肺の陰影が増悪する人はいる。急激に呼吸器症状が悪くなる人がいるので、入院時に予測ができないか検討が続いている。そんな中D-ダイマーが注目されている。すでに複数の論文でD-ダイマーが顕著に上昇している人では死亡率が高いことが報告されてきた。ではいったいどのくらい高いのが問題なのか?2020年4月19日付けでJournal of thrombosis and haemostasisという雑誌に中国武漢の病院から出された論文では、院内死亡の予測に最適なDダイマー値を科学的に推定したところ2.0μg/mL(感度92.3%、特異度83.3%)であった。研究対象者343人のうち入院時にDダイマー値が2.0μg/mL以上だった患者は67人で、2.0μg/mL未満だった患者が267人いた。2.0μg/mL以上の集団の併存疾患保有率(高血圧、糖尿病など)が高かった。また死亡した13人のうち、12人はDダイマー値が2.0μg/mL以上で、2.0μg/mL未満だったのは1人だけだった。D-ダイマーは血栓ができたときにそれを溶解することで血液中で上昇してくる値である。

https://www.hayamaheart.gr.jp/naika/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%81%A8%EF%BD%84%EF%BC%8D%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%A9%B1/
Litao Zang . D‐dimer levels on admission to predict in‐hospital mortality in patients with Covid‐19  J Thromb Haemost. 2020 Epub ahead of print 10.1111/jth.14859

ADAMTS13の低下は過剰なVVFが残るほどなのだろうか?

何がADMATS13を低下させるのだろう?

 


]M .レシス学会雑誌31(1〕 3−・1,2012

血管内皮細胞の持つ 二 面性機能は凝固・線溶系と,血小 板系で制御されている.即ち,前者は凝固 (フィブリン)血栓が中心となり,具体例としては播種性血管内凝固(disseminatedintravascular coagulation , DIC)などがあげられる.一方,後者は血小板血栓が 中心となり,この 病態を示すもの は血栓性微小血管障害症 (thrombotic microangiopathy , TMA )と呼ばれる病理学的診断名が冠 せ られて い る.
血 小 板 血 栓 の 制 御 に つ い て は , 古 く か ら , 「 向 」 血 小 板 血 栓 機 能 を 有 す る も の と し て , イ ン テ グ リ ン α V β 3 , .[f [ L 小板活性化物質(platelet activating facto,r PAF),トロンボキサンA2(thromboxane A2, TXA2),そしてvonWillebrand因子 (VWF )等が良く知られてい る.また,「抗」血小板血栓機能を担 tric oxide. NO),プロスタサイクリン (prostacycline, PGI2),そしてectonucleoside triphosphate diphosphohy− drolase(E−NTPDase,またはCD39)などである.この中で近年とみに注目されてい るのがE−NTDase/CD39である.本酵素は膜結合型酵素であるが,アデノシン三リン酸 (adnosine triphosphate, ATP)とアデノシンー5一ニリン酸(adenosine −5−diphosphate, ADP)の双方に働き,脱リン反応を起こす. ADPは強力な血小板アゴニストとなるため,この酵素のADPスカベ ンジャー作用は強い抗血小板作用を発揮する,


2001年に VWF 特異的切断酵素である ADAMTS13 が同定され,本遺伝子異常に よっ て,あるい はADAMTSI3 に対する自己抗体産生によっ て, ADAMTS13 活性が著減し,それぞれ先天性TTP と後天性TTP が生 じる事が判明した.この メカニ ズム は,主に血管内皮細胞で産生され,その 後に血 中に放出される超巨大分 子量VWF 多重体が, ADAMTS13 活性著減下では切断されず,そのまま血中に蓄積し,細動脈などで生じる高ずり応力下に過剰な血小板凝集を生じるためと説明されるに至っ た.