8590. 自然免疫研究のメッカ

阪大の宮坂先生は、実にバランスの取れた記事を書かれる。

前半は永江くんや宮沢さんが好きそうなことを言ってるけど、最後は穏当にまとめられる。研究所ではなく医学部の主任教授を長く勤められただけのことはある。

さて、ここでもう一度、集団免疫に関して、古い考えと新しい考えを対比することにより、頭の中を整理したいと思います。

 まず、第一点です。古い考えでは、集団免疫の主役は抗体であるとされていましたが、新しい考えでは、自然免疫と獲得免疫の力をあわせたものがコロナに対する抵抗力を表します。

 第二点です。古い考えでは、社会は免疫学的に均一な人から成り立っているので一定以上のウイルス曝露にあうと必ず一定の割合の人が感染するということになっていますが、新しい考え方では、社会を形成する人は均一とは限らないとしています。つまり、免疫学的に強い人と弱い人がいて、弱い人から感染します。感染が進むにつれて強い人が残るので、感染は一様には進まないのです。

 最後に第三点です。古い考え方では、一度免疫ができるとそれが一定期間持続してやがて集団免疫が形成されるとしていますが、新しい考え方では、個体レベルで免疫ができてもそれが一定期間持続するとは限りません。したがって、抗体陽性率によって集団免疫形成の有無を判定することは難しいということになります。とりわけ新型コロナウイルスの場合には、古い集団免疫の考え方はあてはまらないようです。

(中略)

日本人の重症化率・致死率が低いことは事実で、これは感染の頻度が低いことが主な理由です。

 そのように考えると、日本ではある程度の集団免疫は形成されつつある可能性がありますが、一方で、2020年7月から9月にかけて感染の第二波が到来して、感染者が急増している事態があり、さらに、特に免疫力が落ちているとは考えられない高校生や大学生の集団において大規模な集団感染が実際に起きているという事実を見ると、集団免疫は、少しは形成されていても、とても満足できるレベルからは程遠いのではないかと考えています。

 一部に、日本人の大半は病原性の低い新型コロナウイルスに感染しており、既に集団免疫が確立されていると主張する方もおられるようですが、先ほど紹介したように日本人の10万人当たりの感染者数は、全国どこを見ても10人以下であり、感染を収束できるだけの集団免疫には遠く及ばない数字です。

 したがって、「新型コロナ恐るるに足らず」と早合点し、3密回避、マスク着用、頻繁な換気などの対策を軽視するのは大変危険です。欧米で再び新型コロナウイルスが猛威を振るっていること鑑みれば、油断できる状況にはないこと明らかです。

(以上、引用)