7837. 讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)

日本での後遺症実例を紹介されている。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61415 より抜き書き。

話をしてくれたのは、30代の看護師で、4月上旬に感染しました。以前慢性の炎症性疾患にかかっていたことがありますが、今はいたって元気で、薬も服用していませんでした。なお、日付は保健所が発症日と判断した日を、「1日目」としてカウントしたものです。

「PCR検査の結果が出ました。陽性でした。1フロア上の新型コロナ感染症専用病棟に移ることになりました。が、エレベーターまで歩くのもびっくりするくらいたいへんでした。すごくゆっくり歩いても息切れをして、手足が冷たくなってチアノーゼ(血液の中の酸素が欠乏して、皮膚や粘膜が青黒くなること)が出ました。サチュレーションは80台まで下がりました。

この頃から、電気が走るような頭痛に悩まされるようになりました。頭痛は、自宅へ帰って1週間後ぐらいまで長期間続きました」

【14日目~44日目】

「その後ホテルで約1か月療養しました。体温調節がおかしくなったのか、しばしば体温が35度台に下がり、寒くて寒くてたまりませんでした。結局、帰る1週間前ぐらいになって、ようやく36度台に戻りました。

ホテルでは相変わらず少し動くと息が切れました。1日3回お弁当をロビーまで取りに行くのですが、それだけでも息が切れてしまって非常につらかったです。体重は10キロぐらい減り、お腹はぺったんこになり、顔はガイコツのように窪んでしまいました。

【45日目~90日目(現在)】

「ホテルから家まで帰るのに電車とバスを使ったのですが、少し歩くだけで息切れしました。足も筋肉痛になり、翌日は家でずっと寝ていました。それぐらい筋力が落ちてしまっていました。

 体調は、ある時を境に急激にぐっと良くなるという感じではなく、徐々に回復してきたように思います。体重も少しずつ増えて、5キロほど戻りました。呼吸は、今も喋り続けているだけで少し苦しくなります。

 新型コロナ感染症が発症してから3か月あまり経ちますが、体調はまだまだで、以前の6~7割というのが実感です」

 この看護師は、ほぼ完治しているとはいえ3か月経過して、まだ、完全回復とは言えない状態でしょう。

 少しでも動くと息切れし、チアノーゼが出るというのは、相当、肺機能が落ちていたようです。深く息を吸えなかったと言っていることから、肺の浸潤(肺胞に染み出た液体成分がたまること)が深刻で、酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなっていたのでしょう。ちなみに、ここまで症状が悪化しても、まだ重症とはみなされません。新型コロナ感染症では、人工呼吸器やECMOを使用した場合が重症、この看護師のように一時的にでも酸素を投与した場合が中等症、それ以下の場合が軽症とするのが一般的です。

さらに注目すべきは、この看護師が発症後3か月(陰性になってから1か月半)経った今も全快していない点です。

 一般の風邪やインフルエンザなら、2~3週間すればたいてい普通の生活に戻れます。しかし、新型コロナ感染症は、陰性化するまでも長い時間がかかる例が多く、陰性化後もなかなか元に戻れない・治った後も生活に支障がある人が多いらしい――それが今明るみに出てきています。

 じつは私自身も、4月には後遺症が残るのは重症患者だけで、軽症・中等症患者には残らないのではないか、とたかをくくっていました。しかし、その後、日本や世界で、軽症・中等症の患者も後遺症に苦しんでいる方がいることを知り、自分の考えが浅はかだったことを思い知りました。

 ただ現段階で確実なことはほとんどありません。あくまで重症感染症、SARS、MERSから得られたデータに基づいて「おそらくこうであろう」と想像しているに過ぎません。今後、後遺症がなぜ起こるか、特に軽症・中等症の患者で、どの程度の後遺症が、どれくらいの期間続くのか、それに対して我々急性期専門の医師ができることはないのか、など、明らかにする必要があります。

 ちなみに、今のところ後遺症を起こす原因は3つに分けられるのではないかと考えています。

 一つ目はサイトカインストーム。すなわち強い炎症によって、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓などの多臓器不全が起こる。従来から知られていたように各臓器のダメージが重いほど、やはり回復に時間がかかり、後遺症も重い。これです。

 二つ目は、新型コロナ感染症の特徴と言ってもよい血栓症。これによってたとえば血管が詰まり血が流れなくなる(第3回参照)。例えば、肺の血栓症によって肺機能の回復が悪いことがあるかもしれません。また、脳梗塞。この後遺症で、脳機能低下や心の不調が長引くこともあるかもしれません。

 三つ目は、新型コロナウイルスが、肺だけでなく、直接、脳・心臓・肝臓・腎臓に感染すること。たとえば匂いや味がわからなくなる、頭痛、ボーッとする、幻覚が起こる、痙攣が起こる、などは、脳への直接感染の証拠と考えられています。

 これらの症状が長く続くのは、おそらく患者がウイルスをなかなか排除できないことが関与していると思われます。実際、今回お話をうかがった看護師のように、回復までに長くかかったり、PCRが陰性化しても再度陽性化するケースがあることは、なかなかウイルスを排除できないケースがあることを示しているのではないでしょうか。

 さらに想像すると、軽症・中等症の患者で退院後、ちょっと動くとすぐ息切れがしたり、疲れたりするのは、肺機能や筋力が完全に戻っていないことを示しているのかもしれません。

 はっきりしているのは、原因やメカニズムはまだわからないけれど、重症患者はもちろん軽症・中等症であっても後遺症に苦しんでいる人が一定数存在しているという事実です。

 それでもあなたは、「感染しても重症化しなければいいや」と言えますか?

(7月14日口述 構成・文/鍋田吉郎)

※ここに記す内容は所属病院・学会と離れ、讃井教授個人の見解であることをご承知おきください(ヒューモニー編集部)。

◎讃井 將満(さぬい・まさみつ)
自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長・ 麻酔科科長・集中治療部部長
集中治療専門医、麻酔科指導医。1993年旭川医科大学卒業。麻生飯塚病院で初期研修の後、マイアミ大学麻酔科レジデント・フェローを経て、2013年自治医科大学附属さいたま医療センター集中治療部教授。2017年より現職。臨床専門分野はARDS(急性呼吸促迫症候群)、人工呼吸。研究テーマはtele-ICU(遠隔ICU)、せん妄、急性期における睡眠など。関連学会で数多くの要職を務め、海外にも様々なチャンネルを持つ。

(以上、引用)

脳への直接感染は、匂いがわからなくなった症例は、神経を伝わって脳へ入るパターンが危険。

血栓が飛ぶ場合もある。

持続感染は、脳(BBB=Blood Brain Barrier の向こう側だから薬剤も免疫も行き届きにくい) 小腸、腎臓などが考えられる。

小腸はACE2の発現量は肺胞II型細胞よりもずっと高い。いつまでもPCRが糞便中で陽性にでる場合、本当に感染性がないウイルスしか出てないとしても、小腸は感染してないだろうか?

腎臓の場合、抗原抗体複合体が糸球体に引っかかる「ループス腎炎」のような病態になり、ついでに感染したのかもしれない。デングウイルスやジカウイルスは、このような状態になると長く尿の中にウイルスが出てくる(血液中には検出されない)状況になる。(他人への感染性はないことになっている)

エイズの患者さんは、cART療法によってウイルス量が検出限界以下になっても、慢性持続性非特異的な炎症が持続することにより、血管炎様の状態が続き、体はエネルギーを消費し続け、早期老化が問題となっている。

もしも「若い頃に新型コロナに感染した人は、早く呆けると判明した未来」なるものが存在すると知ってたら、早く感染しちまえ!って言葉に、あなたは耳を傾けるだろうか?