7295. 脅威の81本ノック

スッゲーなぁ。ちょっと舌足らずな回答でも、81に答える気力って、普通は持ってないよね。

JASTJ COVID-19 科学ジャーナリストのための情報整理

Q80.無症状病原体保有者の存在割合はどのように考えていますか?参考論文や考え方を知りたいです。

<Rt緊急勉強会に寄せられた質問に対する回答> 18th May 2020

質問: 無症状病原体保有者の存在割合はどのように考えていますか?参考論文や考え方を知りたいです。

西浦博教授からの回答:
 武漢からの日本人帰国者からNishiura et al. (Int J Infect Dis 2020)で、約30%と推定しています。つまり、感染者の7割が発病、ということです。

Q41. 不顕性集団の内容は、無症状者が大半と考えてよいのか? もしそうなら、kが大きいと発症率が相当低いことになるが、家族内で複数発症することが稀でないのは不可解ではないか?

3 JASTJ COVID-19 科学ジャーナリストのための情報整理 2020/05/18 16:21

<Rt緊急勉強会に寄せられた質問に対する回答> 18th May 2020

質問: 不顕性集団の内容は、無症状者が大半と考えてよいのか?
もしそうなら、kが大きいと発症率が相当低いことになるが、家族内で複数発症することが稀でないのは不可解ではないか?


西浦博教授からの回答:
 無症状者だけでなく発病するけれどもかなり軽微で我慢してしまえる方が結構いるものと想像しています。家族内の場合は濃厚接触として追跡されやすいので症状が軽微でも診断されやすい傾向があります(診断バイアスが低くなります)。
 ですので、家庭内の複数発生と自然史としての不顕性感染率の問題は、少し分けて考える必要があるかとは思います。

Q29. Rが1以下になったのは緊急事態宣言より前という解釈でよいでしょうか? 今は、店舗のレジ等にシールドが張られるなど、今後もしばらく維持すべき対策はあります(もともと中国では日本の第2波が来る前にやっていたと思いますが)。そうだとすれば、かなり良い知らせです。本当でしょうか?

1 JASTJ COVID-19 科学ジャーナリストのための情報整理 2020/05/18 15:21

<Rt緊急勉強会に寄せられた質問に対する回答> 18th May 2020

質問: Rが1以下になったのは緊急事態宣言より前という解釈でよいでしょうか? 今は、店舗のレジ等にシールドが張られるなど、今後もしばらく維持すべき対策はあります(もともと中国では日本の第2波が来る前にやっていたと思いますが)。そうだとすれば、かなり良い知らせです。本当でしょうか?


西浦博教授からの回答:
 ご理解の通り、Rtは緊急事態宣言より前から1を下回りました。これは良い知らせなのかどうかは接触行動を含めて検証が必要だと思います。Swedenのように流行を受け止めた国でもヒトの飲食などの行動が少し変わるだけで、3-4だったRtが1.5くらいまで一旦低下したことが知られており、国民の細かな接触行動の変化で敏感にRtが変化しているように思われます。
 ですので、志村けんさんの訃報や都知事の外出自粛要請などを通じた変化でどのように行動が変化し、それがRtに影響を与えたのかを事後的に何とか評価できないものかと考えています。

Q20. 今回は診断バイアスというよりは、症状の出ない人がどの程度あるのかが問題ではないですか?

1 JASTJ COVID-19 科学ジャーナリストのための情報整理 2020/05/18 14:37

<Rt緊急勉強会に寄せられた質問に対する回答> 18th May 2020

質問:今回は診断バイアスというよりは、症状の出ない人がどの程度あるのかが問題ではないですか?


西浦博教授からの回答:
 症状が出ない方は全感染者の30%くらいというのを自身らも推定しています(Nishiura et al. 2020; doi: 10.1016/j.ijid.2020.03.020)。現在の患者データと感染規模の乖離は、おそらく症状があっても軽微な方が多いということではないかと推測しています。

Q11. 年齢補正が非常に重要で、20代が感染させることはできるけれども、観測できない(ソースターム)として、別に取り扱わなくていいのでしょうか。

1 JASTJ COVID-19 科学ジャーナリストのための情報整理 2020/05/18 14:01

<Rt緊急勉強会に寄せられた質問に対する回答> 18th May 2020

質問:年齢補正が非常に重要で、20代が感染させることはできるけれども、観測できない(ソースターム)として、別に取り扱わなくていいのでしょうか。


西浦博教授からの回答:
 ご指摘の通り、年齢群別の異質性のように感染性や発病リスクが年齢に強く依存する場合にはそれを加味したモデルが望まれます。
 提示したSingle population modelはまずその端緒としてのリアルタイム推定で、年齢群別データが特定地域で揃っていると、そういう検討が可能です(それを現在までにも一部検討しています)。

Q5. 逆計算をされるときに、特殊な環境(院内感染など)は除かないと意味がないと思うのですが、まとめてやっているのでしょうか。

1 JASTJ COVID-19 科学ジャーナリストのための情報整理 2020/05/18 13:45

<Rt緊急勉強会に寄せられた質問に対する回答> 18th May 2020

質問:逆計算をされるときに、特殊な環境(院内感染など)は除かないと意味がないと思うのですが、まとめてやっているのでしょうか。
 

西浦博教授からの回答:
 特殊な環境でも、集団としてみれば感染者の潜伏期間はiid (independently and identically distributed)であると想定しています。
 省く場合は、例えば院内感染における潜伏期間が他のそれと異なるという蓋然性が高くなり、その上で院内感染とその他で潜伏期間を別途推定して逆計算する、ということが必要になります。

Q3. 発病数日前から感染力があるということで、濃厚接触者の定義が変わりましたが、この変更は、西浦さんの計算に影響はあったでしょうか。また、たとえば診断が二日早くなった時に、西浦さんの計算の精度はどの程度良くなるでしょうか。

1 JASTJ COVID-19 科学ジャーナリストのための情報整理 2020/05/18 13:33

<Rt緊急勉強会に寄せられた質問に対する回答> 18th May 2020

質問:
 発病数日前から感染力があるということで、濃厚接触者の定義が変わりましたが、この変更は、西浦さんの計算に影響はあったでしょうか。また、たとえば診断が二日早くなった時に、西浦さんの計算の精度はどの程度良くなるでしょうか。


西浦博教授からの回答:
 濃厚接触者の定義の変更によって使用している再生産方程式が大きく変わったということはありません。他方で観察データ上で濃厚接触者がより探知されやすくなった可能性はあります。

 どうやって検討すればいいのかすぐにアイデアはないのですが、数理モデルでなくて疫学研究として、事後に変化の影響を検討する必要がある項目ですね。

Q2. 感染しても発病しないケースが多いと言われていますが、そうするとややこしくないですか?

3 JASTJ COVID-19 科学ジャーナリストのための情報整理 2020/05/18 13:29

<Rt緊急勉強会に寄せられた質問に対する回答> 18th May 2020

質問:感染しても発病しないケースが多いと言われていますが、そうするとややこしくないですか?


西浦博教授からの回答:
 発病者が全感染者に対してあまりにも少ない場合は、感染のトレンドを発病者からつかめなくなるリスクがあり、そういう場合に注意が必要です。

 感染者中の発病者の比率を「感受性指数」と呼びますが、ポリオや日本脳炎は100人以上の感染があってはじめて1人の発病があることも知られています。

(以上)

読むだけで疲れるワーーー

ポリオも日本脳炎も、発症頻度は低くても「小児麻痺」「脳炎」など、特定個人にとっては甚大な、一生の苦痛を伴う被害を及ぼすため、その撲滅のためにワクチンを導入する必要があった。100人に1人しか発症しなくても、その転帰が「死亡」「右足切断」「脳梗塞」だとすると、やはりCOVID-19は警戒すべき疾患だと私は思います。

症状を示す人と示さない人の間の差は、取り込むウイルス量の多寡もあるし、エアボーンで肺に直接、ウイルスを吸い込んだか、接触感染で手から来たかにも寄ると私は思っています。