7290. 宮坂先生のまとめ図

さすが免疫学者って、感じで、シグナル系に詳しい。

(1)重症化する人はウイルスに曝露する量が多い。医療従事者で直接浴びたとか、偶発的に非常にたくさんのウイルスを浴びてしまう人がいます。そうした人は重症化しやすくなる。

喫煙歴がある、過去にウイルス感染がある、炎症を起こしていたというケースでは肺にACE2(新型コロナウイルスのレセプターになる酵素)の発現が上がってしまいます。こういうことが重症化のもとにあると思います。

循環器疾患や糖尿病など持病のある人は重症化率が高い。

(2)普通はウイルスが体内の宿主細胞に感染すると、インターフェロンがつくられます。ウイルス感染を抑える1型インターフェロン(抗ウイルス系のサイトカイン)です。

どうも新型コロナウイルスはインターフェロンのシグナル伝達に必要なSTAT1タンパク質のリン酸化が阻害され、ウイルスが入ってきてもインターフェロンがうまくつくられないようになります。

(3)それが原因となってさまざまなサイトカイン(免疫系を機能させる情報伝達物質)やケモカイン(サイトカインの一群)が制御できない形でどんどんつくられてしまいます。

(4)それが肺で起こると血液から肺に単球やマクロファージ(いずれも白血球の一種)が集まってきます。サイトカインやケモカインが単球やマクロファージを呼び寄せるのです。

(5)多数の炎症性サイトカインが大量に生み出されます。

(7)そしていろんな臓器で炎症が起きます。特に、既に炎症細胞浸潤が存在する臓器で炎症が増強されます。

肥満の場合、脂肪組織に炎症細胞がたくさんあります。動脈硬化は動脈の壁に炎症細胞があります。糖尿病は膵臓の組織に炎症細胞があります。慢性閉塞性肺疾患では肺の中に炎症細胞浸潤が起きています。

こういうところに大量にサイトカインが流れ込んでいきます。サイトカインは炎症細胞をさらに活性化させてしまいます。だからもともと炎症細胞が浸潤している臓器では特に炎症が強く起きます。

持病を持っている人がどうして重症化するかと言うと、すでに前もって炎症細胞浸潤が起こっている。そこにサイトカインがやって来て、さらに炎症を起こせと言われるので、二進も三進もいかない状況になります。

(8)それが免疫細胞に働くと疲弊と機能不全が起こります。

(9)それが肝臓や腎臓などの種々の臓器で起こると、多臓器不全になります。

これがたぶんサイトカインストームが起きる一番大きな流れです。ウイルスが宿主細胞のインターフェロン依存症シグナル経路を遮断してしまう。これがどうも原因としてかなり強いと考えられています。

次に薄い水色で示した右の流れを見てみましょう。

人によっては血管内皮細胞にウイルスレセプターであるACE2がかなり出ている人もいて、ウイルスが血液中に入った時に内皮細胞に感染します。血管内腔で炎症が起きます。活性化されると、そこに血小板がくっつきやすくなります。血栓ができやすくなります。

血小板自身が炎症性サイトカインの働きを受けると、血小板は凝集を起こしやすくなります。血小板の方もペタペタになってくっつきやすくなります。血管内皮細胞の方も活性化を受けて血小板がくっつきやすくなります。

両方がうまく働くものですから、体内のそこら中で血栓ができます。どの血管が感染したかということによって、小さな血管が感染すれば川崎病のような血管炎が起きるでしょう。脳の血管でそういうことが起これば脳動脈の閉塞が起こります。

木村:炎症性サイトカインを“アクセル”に例えるなら、“ブレーキ役”の抗炎症性サイトカインもあります。抗炎症性サイトカインはどうしているのでしょう。

宮坂氏:(5)から(7)にかけてですが、抗炎症性サイトカインのIL-10もたくさんつくられています。

炎症性サイトカインが大量につくられるので、ブレーキをかけなければと抗炎症性サイトカインもたくさんつくられますが、量的に足りないのだと思います。ブレーキが効かない状態になっています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200517-00178891/

このカスケードが動くには、I型インターフェロンの分泌を担う細胞に、ウイルスが感染してシグナルをブロックせねばならぬわけだ。

I型インターフェロンは、通常、多くのウイルスやいくつかの病原体に応答して、マクロファージ、好中球、樹状細胞および他の体細胞から産生されます。

肺に最初から血液の細胞がいるわけじゃ無いし、血液の中のウイルス量は低い。となるとターゲットは肺胞マクロファージか? それとも、NALTのDCか?

7010. NALT

やはり、重症化因子の1つは、「空気感染」経路で感染したかどうか?だと思うのだが、どうだろう?

いや、待て・・・・STAT1は、インターフェロンレセプターの下流にあるんじゃなかったっけ? 

ウイルスが入ってきてもインターフェロンがうまくつくられないようになります。 は、うまく働かないってことではあるまいか?