7158. 永江の穴8

彼が説明しないことは主に3つの数字があることは説明した。

1、新規死亡者数

2、ダイヤモンドプリンセスでの日本人の感染率は、変わらないこと

3、3月中の自粛の事実(ピークアウトの前に、相当の自粛があった時系列)

もう1つ、科学的な解説をしておこう。

彼のご自慢のHLA仮説だが、人種差を表すのに HLAは手っ取り早く使われるが、実際には、後から膨大な数の人間を集めてやり直すGWASというやり方で、データは必ず書き変わるのだ。

人には300万箇所の遺伝子変異がある。人種により偏りがあるところと、人種によっても差がないところがあり、遺伝子の発現力、タンパク質のアミノ酸配列そのものへの変異など、インパクトのある変異と、インパクトの知られてない変異など、いろいろある。

それら全部を一度に、調べて比較するのがgenome-wide-association-study GWASだ。一般的には統計学的有意差を言うのに、p=0.05でいい。これは、5%は仮説が嘘かもしれませんと言う申告だが、このGWASをやった場合、p valueは、SNPと呼ばれる検出した遺伝子変異の数を掛け算する多重検定補正を必要とするので、大抵の場合、有意差に及ばなくなってしまう。

それでも生き残る「本命の遺伝子変異」を見つけ出すためには、N値、つまり、解析対象の集団を大規模にする必要があり、最低でも数千人、下手すれば数万人を多施設共同で研究するコンソーシアムを結成して行うか、論文をいくつも集めてきて、データだけを解析し直すmeta-analysisのやり方を取る。

もちろん、人種差以外のファクター(気温、性別、年齢、あらゆる「既知」の影響を及ぼすであろう因子は、Multiple regression analysis で重み付けをする。

気温=中国の内陸、欧米、イラン(砂漠も山は寒い)より日本は温暖、アジアも。

性別=男性がフリなのは、レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系のせい。(解説は省略)

年齢

基礎疾患の有無

こう書けば、すぐに答えが出ないのは、わかるだろう。

7071. HLA:B*35

7070. HLAで虚仮威し

HLAよりも本命の遺伝子が、どこに落ちるか?

血管炎の遺伝子か、血栓症の遺伝子か。それともIL-1betaなどの自然免疫の遺伝子か。今からワクワクする。

遺伝子変異から、病態のメカニズムが説明できるようになるのだから。

これが、「ヒトゲノム解析研究」の醍醐味である。人にしか感染しない病気は、HIVやC型肝炎他、いろいろある。実験動物では答えが見えない時に、ゲノム研究は、本当の人の病気を教えてくれることがある。

「査読」と「抄読」の違いも知らぬ人が、こけ脅しのHLAで大衆をもて遊ぶな。