7071. HLA:B*35

HIVの感染者がAIDSを発症するまでの期間には、数年から10年以上と、個人差が大きかった。

世界最強のHIV耐性遺伝子CCR5 delta32は、レセプター欠損を示す。

新型コロナのレセプターはACE2,

HLAそのものではありません。

HIV感染者の病態が早く進行すると知られているのはB*35 反対に遅くなると言われるのは、B*27とB*57

ここで重要なのは、「遅らせる良いHLA」と思われているものも、感染防御には効かないこと(対象者はすでに感染者です)と、世界的にも治療薬がない時代でも予後が比較的長く生き延びる人がいた日本人の中には、B*27もB*57もほとんど居なかったこと。

1980年代当初にHIVに感染した人たちは、今の統計にはでてこない「血友病」の人たちだった。彼らは悲劇の中、自暴自棄にもならず、節制と規則正しい生活、感染予防に努め、画期的な薬が開発されるまでの長い10年以上を生き抜いた人もいた。

アジア人が、何らかのファクターで新型コロナに強いのは事実だろうが、そこに「暴露量の違い」を忘れてはならない。

早くから鎖国ができた台湾を除き、「衛生習慣」の違いと、温暖な気候は大きな因子だ。

公衆衛生は、複数のファクターが複雑に絡み合っている。

どれか1つで全てが説明できるわけではない。努力の積み重ねなのだ。

クラスター班が見つけ出した、三密とその対策が著効したのも事実。

国民全体の「同調圧力」の強さも1つ。

元から花粉症でマスクを持ってる人が多かったのも1つ。

あらゆるものなかで、HLAってのは、直接の因果関係にないものだ。

HLA遺伝子が載っているのは染色体の6番。そこの周辺にある遺伝子で、直接「新型コロナ」の感染に関わるレセプター分子とのリンクは証明されていない。

(TMPRSS2は22番染色体、ACE2はX染色体の上に乗っている)

ちなみに、永江氏は、HIVの感染者の病気が早く進むHLA*B35と、B*27の違いがどのようにして生まれているか、説明できるかい?

あれは、細胞性免疫の強さを変えている。HLA:B*35を持つ人が提示できるエピトープは糞だが、HLA:B*27を持っている人が提示できるエピトープはウイルスにとって、変異できない部分に当たっている。だからウイルスは細胞傷害性T細胞にやられる。(正確に言えば、細胞傷害性T細胞が攻撃するのはウイルスが感染した細胞であって、ウイルスそのものではないが、ウイルスを産生している細胞が殺されて消えれば、次に生まれてくるウイルスの量が減るので、結果として病気の進行は遅くなる。)

この話を、新型コロナに当てはめてみよう。

細胞傷害性T細胞が働くのは、感染後2週間程度の時点から。

重症化するかしないかには関係あるかもしれないけど、感染するかしないかには関係ないのだ。

免疫学者でもない方に、ご理解いただくのは難しいかもしれないけど、一応は書いておく。

7070. HLAで虚仮威し

遺伝的な人種差ってのは、明らかにある。

肌色が黒い、白い、黄色い、全部遺伝子で決まってるんだ。

HLAも、その内の1つに過ぎないが、サロゲートマーカーですらない。

いずれGWASが答えを出してくれるだろう、それがACE2のpromoterSNPなのか、IL-6のSNPなのか、知らんがな。

7060. 肺血栓塞栓症 の人種差はどの遺伝子がきめてるんだろう?・・・

遺伝学をやる場合、環境因子などのconfounding factorを揃えた比較が必要です。

この場合の環境因子は、「ウイルス暴露量」

例えばダイヤモンドプリンセスで同じフロアにいて、感染した人と感染しなかった人の間の比較とかね。

院内感染と夜の街クラスターがあるのは、そこにいるウイルス量が多いから。

環境因子の方が、遺伝的優位性をふっとばすことはいくらでもある。

だから、三密空間には近寄らないに限る。

それだけのこと。