6852c. 文献付き

なのは、珍しい。良い記事です。

──日本集中治療医学会の調査で示された台数とは異なり、実際に使える台数はかなり限られてくると言うことですね。先日、HIV治療薬のカレトラの臨床試験の結果が出て、使用しない場合と比べて有意な差が見られないということでしたが(※4)、実際に使用されていかがでしたか。また、今後治療薬の候補はあるのでしょうか。 

忽那 カレトラは、既に何人かの方に使用しましたが、効くという実感はあまりありませんでした。 この研究における症例数が十分ではないため結論づけるのは早計かもしれませんが、今後は、あまり使用されなくなっていくかもしれません。

 アビガンという、インフルエンザの治療目的に開発された薬は、中国で80人規模の臨床試験が行われ、カレトラと比較して、CT検査での改善やウイルス消失までの日数が短いという結果がでています(※5)。また、早ければ4月には、国内未承認のレムデシビルの中国での臨床試験結果が出るかも知れません。国内でも、レムデシビル、膵炎治療薬のナファモスタットの多施設共同研究が、当院も含めて計画されています。 集団免疫戦略には「疑問がある」

──イギリス政府の発表で、集団免疫戦略が話題になりました。 

忽那 基本再生算数を2.5として、国民の60-70%が感染すれば流行が収まるとする集団免疫戦略ですが、 その戦略の方向性には疑問があります 。高齢者や持病を持つ方にとっては恐ろしい病気ですから、国民がどんどん感染するようになると、死者を大量に出すことになります。

 わたしたちは、あくまで、発症者のピークを後ろにずらし、医療のキャパシティを超えないように、カーブをなだらかにしていく必要があります。ピークは夏よりももっと後になる可能性もあります。

 ピークを遅らせつつ、ワクチンや治療薬ができるのを待つのが重要です。ワクチンは、米国国立衛生研究所(NIH)が先日第1相臨床試験に着手、開発が急ピッチで進められる可能性もありますが(※6)、免疫がつかないこともあり、複数の種類のワクチン開発を進めた方がいいと思いますし、まだどうなるかははっきりしません。 

(後編 「PCR検査の対象は「日韓で大きく異なるわけではない」 新型コロナの治療にあたる医師が、報道を危惧する理由」 を読む)

写真=榎本麻美/文藝春秋

 

レファレンス
※1  https://www.mhlw.go.jp/content/000601816.pdf
※2  https://www.jsicm.org/news/upload/COVID-19-ECMOnet-report-20200304.pdf 
※3  https://www.jsicm.org/news/upload/COVID-19-ECMOnet-report_20200311.pdf 
※4  https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2001282?query=featured_home  
※5  https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2095809920300631
※6  https://www.niaid.nih.gov/news-events/nih-clinical-trial-investigational-vaccine-covid-19-begins 

忽那 少なくとも東京都では、必要な症例には検査がされている状態と考えます。なぜなら、医師が「この人は感染しているのでは」と疑って検査をした症例での陽性率(=実施した検査の中で、陽性の結果が出た確率)が東京都の場合、5%程度だからです。つまり、医師が感染を疑った患者さんのうち、実際に陽性の患者さんは20人に1人なので、検査数が少ないことで感染者を大量に見逃している、ということはないはずなのです。 

https://bunshun.jp/articles/-/36805?page=2