6571c. 新型インフルエンザの教訓

2009年の騒動で、どちら側のポジションに居たかによって、今回の発言パターンが分かれる。

あの時、色々と駆り出されて対応する側だった人間(医療現場や薬局、学校、保健所、行政 etc)と、あの時も騒いだ人達の毎度毎度の攻防戦は、この先もなんども何度も繰り返されるだろう。ポジショントークと言うのは、そんなもんだ。

今回、ネット上の空中戦(世論戦)は、一時期はダイヤモンドプリンセス号に突入「観光」した教授や、怪しげな自費診療「始めました」の某上氏とかによって、あちら側に傾くかと思いきや、「陽性=感染している」ことすら理解してないカビパラが親玉だとわかって、一気に形勢が逆転した。

今後、「欧州出羽守」や「CDC万能論者」が、リベラルEUのパニックと、ブリカスの七枚舌(の次の沈黙)と、アメリカがしれっと自国内パンデミックをある日突然発表するのを目の当たりにする近い将来に、どう変化するかを私は今から楽しみにしている。

(WHOは急に存在感がなくなった・・・・・組織としては地味だけど悪くない仕事をしてるのに。これは悲劇だと思う。)

10年前の新型インフルエンザと今回の新型コロナの違いは、「鼻グリお手軽キット(新型かどうかはわからないけど、とりあえずA型なのはわかる)」があり「タミフル(新型だろうがなかろうが良く効く)」のご褒美が貰えたインフルエンザ検査のお得感に比べたら、「鼻水やお口アーン!ではなく、痰、それも重症になるほどにウイルスが増えたやつ」じゃなければ検出できないし、どこでも誰でも出来るほど簡単じゃないRT-PCR検査(の前のRNA抽出)の面倒くささと、診断の引き換えに得られるものが「2週間の隔離(ムチ)」だけで特効薬(アメ)はない状態だと、国民全体が理解できるかどうか。

いわば、民度の問題になっている。

少数の「発生源」を特定し、周りを全部調べて、どれくらいの感染力があるかを調査しつつ、隔離し「封じ込め」を試みるフェーズから、だんだんと「すり抜け例」が増えてきて感染の封じ込めができなくなるフェーズに、感染力は強い&潜伏期が長い&発症しない人が多い感染症の場合は、移行するものなのだ。

ここで一気に軽症者が病院に「安心」を求めて押しかけると、医療崩壊に繋がる。今が正念場だと言うのは、そう言う意味なのだ。もっと世界各国が封じ込めは無理だとして、フェーズを移行するのを見れば、「出羽守」は沈黙してくれるし、感染しても「普通の風邪として軽症で治った実例」が増えてくれば、「未知」の恐怖からも解放される。(今は、偏見と風評被害を避けるために、治った人が隠されている)

それまで、何とかして食い止める。

現場に関わりがある人間はみんな理解している。政治的な立場を超えて団結している。

それを壊そうとする人たちは、政権さえ倒せたら、どんなに現実が壊れても構わない人たちだと私は思う。

アメリカと比較すると、人員は42分の1、予算は1077分の1ときわめて脆弱である。

1点だけ言うならば、国立感染症研究所は予算削減で施設も機器も老朽化して限界ギリギリのところでやっていることを強調しておきたい。アメリカCDCが羨しければ、それだけの予算を保健衛生に、常日頃から「無駄」に見えそうなところに人とモノをつけておく「余剰」が必要だ。

華々しい研究成果が出ない基礎研究や、普段から縁の下の力持ちをしているシステムに対して、もう少し、必要な無駄ってものがあると見直されることを願う。

以下は、yahoo ニュースを引用。押谷氏は感染症の疫学分野での第一人者です。某神戸大の先生とは違い弟子も多く、世界各地に散っている。

2009年の新型インフルエンザの時には、外来で3時間待ちや4時間待ちもありました。けれども、検査してもらえるし、薬を処方してもらうこともできる。でも、新型コロナウイルスは軽症者に対しては薬もないし、治療法もない。検査もなかなかしてもらえない。

もちろん、重症化の兆候がある人には最善の医療を提供する必要があります。医療現場ではそのような体制を迅速に整備しようとしています。重症化する徴候のある人に最大限の医療を提供するためにも、また自分が感染しないためにも、軽症者や過剰に心配に感じる人が医療機関に押しかけるような行動はすべきではありません。押谷仁(おしたに・ひとし)

東北大学大学院教授。1999年から2006年まで世界保健機構(WHO)西太平洋地域事務局に感染症対策アドバイザーとして勤務。02年から03年にかけて中国を中心に広がったSARSの事態収拾への陣頭指揮を取り、収束させた経験を持つ。今回は2月14日から、内閣官房・新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の一員として助言をする立場となっている。