6243. 札幌より12

猪野弁護士のブログが更新されるたびに収録する「札幌より」シリーズ

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 弁護士への大量懲戒請求事件について、北海道でも損害賠償請求訴訟が起こされました。
 私は、彼らから大量懲戒請求を受けましたが、被告側の代理人として本訴訟に臨みます。なぜなら、損害がないことを身をもって知っているからです。
大量懲戒請求に関する北海道訴訟第1回口頭弁論期日

 ところで世間では、懲戒請求を「大量」にされたら大きな労力、負担になっているんではないかという誤解が蔓延しています。これは由々しきものです。
 当初はマスコミもセンセーショナルに報じました。だから事務負担など業務に影響が出るくらいのことになっているのではないか、そんな印象を持ちませんでしたか。

 それ自体も間違いだし、そもそも原告らが請求する額が非常識なのです。
 北海道訴訟では、原告らは、予備的請求ですが、一人に対して50万円の損害賠償請求を行っています。道内52人に対しては合計で2600万円となります。
 全国では960人からの請求ですから、その全体の額は4億8000万円にもなります。
 いくら大量懲戒請求とはいえ、本当にこれだけの精神的苦痛を負ったのでしょうか。この額は近親者が20名近く一度に死亡したときの慰謝料額に匹敵するものです。
 これだけみても非常識な請求であり、弁護士としての品位を欠くと言わざるを得ません。

 まず大量懲戒請求によってどの程度の「損害」が発生したのか、です。
 「大量懲戒請求」と聞いて、だからその対象になった弁護士はさぞかし業務もできなくなるくらい対応に忙殺されたのではないか、そのような想像をしていませんか。
 そんな事実はどこにもありません。

簡単に説明しておきますと、大量であってもすべて併合調査がなされていますから、懲戒請求事案としては1つです。
 弁明書も1通提出すれば足ります。神奈川県弁護士会では当時、既に弁明書の提出すら求めないという会規改正も行った上で受理しています。なので、嶋﨑量弁護士は弁明書を提出することなく、懲戒不相当となっています。
 札幌弁護士会では今は同様に弁明書の提出は求めないという会規に改正されていますが、当時は改正前だったので、形式上、弁明書の提出が求められました。
 弁明書を1000通、提出しなければならないものではないということです。誤解されている方が多いのでご注意ください。
 弁明書の内容は問われません。形式的に提出しておけば弁護士会からとやかく言われることはありません(これは上記のとおり会規改正前の場合です)。
 例えば一言、「懲戒になるような事由ではない」で足ります。
 その作業時間は5分程度です。
 もっとも橋下徹弁護士は、こうした根拠のない懲戒請求に対しては弁明書など出さなくても懲戒になることはないと公言されていました。そのとおりなのですが、一応、弁護士会事務局としては弁明書の提出を促すことになっており、余計な事務負担を掛けることになるので、一応、形式的には提出しておくことになります。

 何故、その程度の負担しかないのに、世間は対象となった弁護士が大変なことになっていると多くの人たちが誤解したのかといえば、最初に記者会見した佐々木亮、北周士弁護士らが極めて大げさ、誇張してマスコミ発表をしたからということと、それをさらに煽るようにマスコミが報道したからです。
 北海道訴訟も同じです。北海道新聞が煽るようにかき立てました。
 今回、第1回の報道は、当方の主張に対しても取材も含め、これまでに比べればかなり当方の主張についても報じてくれました。朝日新聞の見出しは「被告」の文字の方が大きいものでした(読売、毎日は記事なし)。
 彼らの大げさ、誇張した主張には全く説得力がないということが理解されたものと思っています。
 これまで東京地裁や横浜地裁を中心とした訴訟では、「余命三年時事日記」側の選定当事者たちのあまりに杜撰な訴訟遂行のため、請求額がそのまま認容されるような判決が続いていました。しかし、どう考えてもおかしいということが、ようやく裁判所に浸透してきています。
 当たり前のことです。1人30万円であれば全体で3億円。50万円であれば5億円にもなってしまうのですが、これがあまりに常識を逸することは誰がみてもわかります。
 当初、東京地裁、横浜地裁では10人を1組にした訴訟が行われていました。
 なので30万円×10人で計300万円となります。
 しかし、この300万円でもおかしいのです。
 ここで問題になるのは損害の個数です。
 原告弁護士らは、1個の損害(精神的苦痛による慰謝料)を主張しているだけなのです。
 その慰謝料を基礎づける事実は、いくつかあります。
  ①弁明書作成の労力
  ②利益相反のチェック
  ③懲戒請求に伴う登録換えの禁止
  ④信用、名誉の低下
 これが上げられている理由ですが、①は論外、②も同様。③などそもそも登録換えなど想定されていない、④懲戒請求されたのが誰で、それがネット上でどのように評価されているのかという具体的事実が重要なのに、主張されていることは単に懲戒請求を受けると信用、名誉が低下するというだけでおよそ不法行為に基づく損害賠償請求とは無縁の主張で、懲戒請求されたというだけで低下した信用、名誉など存在しないし、むしろマスコミは持ち上げる報道ばかりしているのが実態なので、信用、名誉など低下しようがない。
というようにいずれも根拠にもなり得いものなのですが、それはさておくとして、その損害はいくつですか、個々の懲戒請求者ごとに過分ですか。
 懲戒請求者の個々の行為と因果関係のある損害はどれですか。
 東京、横浜の原告弁護士らからは、訴状(10人分)ではこれらいずれも1つとしてか主張されていません。北海道訴訟でも同様です。
 全体として1つの損害(弁明書だって1000通作成しているわけではないし、1通の作成時間だって5分程度です。5分を1000で割れば0.3秒です。本来、個別の損害というのであれば、この0.3秒を前提にしなければおかしいのです。)なのですが、10人請求するとそれが何故か10回カウントされてしまうのです。
 それが300万円の正体。
 別々の損害だというのであれば、被告A、被告Bとはそれぞれ異なる損害を主張・立証しなければならないということになりますが、原告らの主張にはそういった個別の損害は全く主張されていません。というより異なる損害など主張・立証など存在し得ないのですから、かかる主張・立証などできるはずもありませんね。
 3億円についても同じことで、1つの損害(30万円)が1000回、カウントされるから3億円。
 これが非常識な損害額3億円のカラクリです。
 訴状で主張されている損害が30万円だというのであれば、それはあり得るとは思います。しかし、それを10回とか1000回とかカウントしたらダメでしょ、というただそれだけの話です。
 この意味がわかりますか。
 原告らが1人に対して30万円の損害を主張するというのであれば、原告らが負った苦痛全体が3億円であることを立証しない限りは、本来は個別の請求としての30万円も認められない、ということです。
(裁判所は一体、何を判断していたんでしょうね。)
 図解するとこのようなイメージです。

これが3億円の正体なのです。東京高裁のとある判決(野山宏裁判長)は請求異議訴訟で対応しろなんて言っています。その頃には認容額全体がわかるだろということを前提にしているのですが、そうなると、上記東京高裁判決は自ら過剰な額を認容しているという矛盾はどのように考えるのでしょうか。

 東京の原告弁護士らは、「余命三年時事日記」本体に対する賠償請求を行うそうですが、それはよいのですが、個々の行為者との共同不法行為ということを前提にすれば全体として3億円の損害があるということにしないと矛盾します。
 個々の行為者は30万円、それと共同不法行為ということになれば「余命三年時事日記」も同様に30万円、それが1000人分あるわけですから3億円。
 原告らの主張を前提とした帰結になります。
(但し、弁済を受けた額は控除する主張になります)
 それとも「余命三年時事日記」に対しては、「常識的」な500万円の請求になるのでしょうか。
 あるいは、「いやこれも個別の不法行為になり共同不法行為は成立しないから、大量懲戒請求者から回収した分を控除する必要はない、3億円をそのまま請求するんだ」ということになるのか。
 いずれにしても、原告弁護士らの主張がいかに非常識であるかがおわかり頂けると思います。

(以上、引用)

総額上限500万とのことです。

さてさて、怪獣大戦争、どうなりますか。北海道裁判は三宅さんは取材しませんね。でも、北海道新聞がきっちりと伝えてくれるでしょう。

楽しみです。

北のちぃちぃさんも裁判記録を閲覧して、「せんたく」に流してくれるし、saniwaブログも被告側からの情報が入る。

これから注目です。