5489. 匿名での名誉毀損

私は被害者で当事者だが「架空人」だから名誉毀損で訴える権利を持たないと思って来ました。同じように、三宅被害者の会も実名の人と仮名の人は分離した方がいいと言って来ましたが、以下のようなコメントをいただきました。

匿名でも名誉棄損罪が成立した判例は既に存在します。虚偽の告訴状提出宣言までされた5名は、中林さん以外の匿名の人達でも十分に闘えると思うんですけどね。

匿名アカウントに「対する」誹謗中傷があります。

たとえば、ハンドルネームを使って活動し、本人の実名等を公開していないアカウントのユーザーに対し、ある人が、そのハンドルネームに言及して誹謗中傷をすると、どのような問題が起こるのでしょうか。

この場合には、「中傷されたのは、オンライン上の仮想の人格にすぎず、これをもって名誉毀損被害を受けたとはいえないのではないか」という問題意識があります。

たしかに、ハンドルネームに言及しただけでも、そのハンドルネームと本人の間のかかわりが深い場合には、容易に「本人の名誉が毀損された」といえるでしょう。たとえば、作家のペンネームや芸能人の芸名のように、社会生活において当該ハンドルネームが用いられていれば、本人の名誉が毀損されたということは容易です(注5)。また、当該アカウントがすでに本人との関係を示唆する投稿をしていたり、名誉毀損の際に単にアカウント名だけではなく本人との関係を示す情報をあわせて投稿していれば(注6)、そのような情報を総合して当該アカウントと本人の関係がわかるとされ、本人の名誉が毀損されたといえる場合もあります(注7)。

すると、匿名アカウントに「対する」誹謗中傷に関し、「中傷されたのは、オンライン上の仮想の人格にすぎず、これをもって名誉毀損被害を受けたとはいえないのではないか」という問題意識がダイレクトに問題となるのは、いわゆる「完全匿名」アカウント、つまり、当該アカウントが本人との関係を示唆する情報を発信しておらず、ハンドルネーム等を用いた社会活動も行っていない場合になります。

たしかに当該アカウント(オンライン上の人格)のオンライン上の評価は低下しますが、インターネット以外の場においてまで当該アカウントの評価が低下したとは言いがたいところです。このような場合に、「社会的評価が低下した」として、名誉毀損は成立するのでしょうか。

(中略)

「中傷されたのは、オンライン上の仮想の人格にすぎず、これをもって名誉毀損被害を受けたとはいえないのではないか」という問題について判断した裁判例はいまだにそれほど多くありませんし、先ほど述べたとおり、オンライン上の仮想の人格が中傷されただけでは名誉毀損にならないという裁判例もあります。とはいえ、東京地方裁判所が、相談事例のような事案において、匿名アカウント運営者に対する名誉毀損を認めたことには注意が必要です。つまり、インターネット上で投稿を行う際には、ハンドルネームにだけ言及し、実名に言及しないからといって、誹謗中傷行為が免責されるとは限らないのであって、この東京地方裁判所の判断と同様に、名誉毀損として責任を負わせられる可能性があることには十分に留意すべきでしょう。

(注1)ただし、実際には「告訴」といって、警察に対して動いてもらうようにお願いしても、なかなか簡単には動いてもらえないという実情があることに気をつけてください。詳しくは、『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』326頁を参照してください。

(以上、引用)

このコメントで紹介されていたブログでの記載例は、特殊な例のように見えます。裁判所があまり深く考えずに、ヒョイっと出してしまった判決のようにも見えます。

このwebサイトでは、細かい注釈が書いてあり、成立条件も相当に厳しいものがあるようでした。

しかし、ウェブがインフラとなって来て、web人格もコテハンの場合認められるとなった場合には、将来的には変わってくることもあるのかもしれません。

私は当面は、架空人「着ぐるみ」には法的には毀損される名誉はないので法的手段に訴えることは出来ないとの立場を取ります。

ただし、法的手段に訴えることが出来ないことと被害がないことはイコールではないし、被害を世論に訴えることが出来ないことも意味しません。

実名の人は法的手段に訴え、仮名の人は世論あるいは誰か個人にピンポイントに訴え、両面から攻める。

これが最も有効な手段だと私は思います。

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