4065. 田原最高裁裁判官

竜さんに教えてもらった最高裁の田原睦夫の補足意見。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/555/034555_hanrei.pdf

懲戒請求されても弁護士は痛くもかゆくもないはずだという主張は「個人の見解」に過ぎない。ということです。長いけど引用する。

以上のとおり,弁護士懲戒制度は,弁護士の活動との関係で重要な機能を果たす
制度であるが,懲戒を受ける個々の弁護士にとっては,業務停止以上の懲戒を受けると,その間一切の弁護士としての業務を行うことができず(業務停止期間中に弁護士としての業務を行うと,いわゆる非弁活動として刑事罰にも問われ得る。),それに伴ってその間収入の途を絶たれることとなり,また戒告処分を受けると,その事実は,官報に掲載されるとともに各弁護士会の規定に則って公表されるほか,日本弁護士連合会の発行する機関誌に登載され,場合によってはマスコミにより報道されるのであって,それに伴い当該弁護士に対する社会的な信頼を揺るがし,その業務に重大な影響をもたらすのである。

弁護士に対する懲戒は,その弁護士が弁護士法や弁護士会規則に違反するという
弁護士としてあるまじき行為を行ったことを意味するのであって,弁護士としての社会的信用を根底から覆しかねないものであるだけに,懲戒事由に該当しない事由に基づくものであっても,懲戒請求がなされたという事実が第三者に知れるだけでも,その請求を受けた弁護士の業務上の信用や社会的信用に大きな影響を与えるおそれがあるのである。このように懲戒請求がなされることによる影響が非常に大きいところから,虚偽の事由に基いて懲戒請求をなした場合には,虚偽告訴罪(刑法172条)に該当すると解されている。

弁護士に対して懲戒請求がなされると,その請求を受けた弁護士会では,綱紀委
員会において調査が開始されるが,被請求者たる弁護士は,その請求が全く根拠のないものであっても,それに対する反論や反証活動のために相当なエネルギーを割かれるとともに,たとえ根拠のない懲戒請求であっても,請求がなされた事実が外部に知られた場合には,それにより生じ得る誤解を解くためにも,相当のエネルギーを投じざるを得なくなり,それだけでも相当の負担となる。

それに加えて,弁護士会に対して懲戒請求がなされて綱紀委員会の調査に付されると,その日以降,被請求者たる当該弁護士は,その手続が終了するまで,他の弁護士会への登録換え又は登録取消しの請求をすることができないと解されており(平成15年法律第128号による改正前の弁護士法63条1項。現行法では,同62条1項),その結果,その手続が係属している限りは,公務員への転職を希望する弁護士は,他の要件を満たしていても弁護士登録を取り消すことができないことから転職することができず,また,弁護士業務の新たな展開を図るべく,地方にて勤務しあるいは開業している弁護士は,東京や大阪等での勤務や開業を目指し,あるいは大都市から故郷に戻って業務を開始するべく,登録換えを請求することもできないのであって,弁護士の身分に対して重大な制約が課されることとなるのである。

弁護士に対して懲戒請求がなされることにより,上記のとおり被請求者たる弁護
士の身分に非常に大きな制約が課され,また被請求者は,その反論のために相当な時間を割くことを強いられるとともに精神的にも大きな負担を生じることになることからして,法廷意見が指摘するとおり,懲戒請求をなす者は,その請求に際して,被請求者に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について,調査,検討すべき義務を負うことは当然のことと言わなければならない。

以上、自己弁護を長々とすることのできない弁護士さんに代わって、解説がわりに掲載しました。懲戒請求がどれだけの悪手か、理解して欲しい。2度と、この制度を「政治的主張」のために使おうというバカが出てこないことを願っています。

判決文の方には、以下のようにあります。

請求者に対し恣意的な請求を許容したり,広く免責を与えたりする趣旨の規定でないことは明らかであるから,同項に基づく請求をする者は,懲戒請求を受ける対象者の利益が不当に侵害されることがないように,対象者に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査,検討をすべき義務を負うものというべきである。
そうすると,同項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において,請求者が,そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請求するなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには,違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解するのが相当である

余命読者は「なぜ、懲戒請求したのか?」「どうやって選んだのか」について、自分で選んだ訳ではないので、わかりません、と答えている。これは明らかに不法行為。少なくともツイート一発が懲戒請求の理由にならないことは、普通の人なら理解できる。

不法行為であるからには、損害賠償請求されても仕方ないです。

私は会長副会長は大人の対応を望みますが、一方で、3回もやられた佐々木先生、ツイート一発の人たちが一罰百戒を狙って訴訟を起こしてるのは、この懲戒請求制度自体を弁護士自治のために守るためだとも感じています。